CMS導入のデメリット9選|マーケティング担当者が知るべき落とし穴

Webサイトの更新頻度を上げ、マーケティング活動をスピードアップさせるためにCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の導入を検討する企業が増えています。しかし、十分な比較や準備がないまま導入すると、思いがけないトラブルや運用コストに悩まされるケースが少なくありません。
本記事では、CMSの基本から導入のメリット、そして見落としがちな9つのデメリットと対策を徹底的に解説します。
CMS導入のメリットとデメリット、あなたの会社はどちらですか?
CMSの導入はWebサイト運用の効率化に大きく貢献しますが、すべての企業にとって最適な選択肢になるとは限りません。
まずはCMSの定義と、導入によって得られる代表的なメリットをおさらいし、自社の現状と比較してみましょう。
CMS導入の前に知っておきたい!そもそもCMSとは?
CMSとは「Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)」の略称で、HTMLやCSS、プログラミング言語の専門知識がなくても、Webサイトの制作や管理、更新を直感的に行えるシステムです。
従来のWebサイト運用では、1文字のテキスト修正であっても専門の制作会社や社内のエンジニアに依頼する必要があり、数日単位のタイムラグが発生していました。
CMSを導入すると、管理画面からテキストや画像を入力するだけでシステムが自動的にHTMLを生成し、一瞬でWebサイトに反映されます。これにより、情報の更新スピードが劇的に向上し、タイムリーな情報発信が可能になります。
CMS導入で実現できる3つのメリット
CMS導入がもたらす最大のメリットは「業務効率化と内製化の促進」です。
専門知識のないマーケティング担当者でも、自力で記事の追加やページの修正が行えるため、これまで外注に依頼していた時間とコストを大幅に削減できます。実際に、従来は外注依頼から公開まで1週間かかっていた作業が、CMS導入後は社内で1時間で完了するようになったという事例も存在します。
2つ目のメリットは「Webサイト全体のデザインや構造の一貫性維持」です。
共通のテンプレートを使用することで、誰が更新してもブランドイメージに沿った崩れのないページが作成できます。
3つ目のメリットは「分業体制とセキュリティの強化」です。
アカウントごとに編集権限や承認権限を設定できるため、各担当者が作成したコンテンツを責任者が確認した上で安全に公開するフローを構築できます。これにより、製造業などのコーポレートサイトにおいて、NORENなどのCMSを導入して厳密な承認ワークフローを確立し、運用ミスを防いでいる企業が多くあります。

CMS導入でマーケティング担当者が陥りがちなデメリット9選
Webサイトの運用を劇的に変えてくれるCMSですが、導入後に後悔するケースも後を絶ちません。ここからは、マーケティング担当者が事前に対策を講じるべき9つの具体的なデメリットについて深掘りします。
デメリット1
想定外のコストが発生する
無料のオープンソースCMSであれば費用を抑えられると考えがちですが、初期のシステム構築費用やデザインテンプレートのカスタマイズ費用など、目に見えない初期コストが発生します。さらに、導入後もサーバーの維持費やドメイン代、定期的なバージョンアップ作業に伴う保守費用など、継続的なランニングコストが積み重なります。
CMSによっては、WebサイトのPV数や登録ページ数に応じてライセンス料金が上昇する料金体系になっている商品もあり、長期的な予算計画を狂わせる要因になります。
CMS導入でマーケティング担当者が陥りがちなデメリット9選
- デメリット1:想定外のコストが発生する
- デメリット2:デザインや機能の自由度が低い
- デメリット3:セキュリティリスクと管理工数が増加する
- デメリット4:操作方法の習得に時間とコストがかかる
- デメリット5:Webサイトの表示速度が低下する可能性がある
- デメリット6:既存サイトからのコンテンツ移行が大きな負担になる
- デメリット7:導入したのに結局使われず形骸化する
- デメリット8:特定の制作会社やシステムに依存してしまう
- デメリット9:目的と合わないCMSを選び成果が出ない
デメリット2
デザインや機能の自由度が低い
CMSは、あらかじめ用意されたテンプレートやコンポーネントを組み合わせてページを作成する仕組みです。そのため、特定のキャンペーンページで独自の大胆なレイアウトを実現しようとした際、テンプレートの制約によって自由に配置できないというジレンマが生じます。
高度なデザインや独自の機能を無理に実装しようとすると、CMSのコアプログラムを複雑にカスタマイズする必要があり、結果として開発コストが跳ね上がったり、システムのアップデートが難しくなったりする問題が発生します。
そんな時は?
自由度の高いCMSを選びましょう
各社CMSの中にも、自由にHTML&CSSを組込めたり豊富なテンプレートが用意されていたりと、幅の広いデザインは可能です。CMSの選定時に確認しましょう。
デメリット3
セキュリティリスクと管理工数が増加する
世界中で広く使われているWordPressなどのオープンソース型CMSは、その普及率の高さゆえにハッカーやサイバー攻撃の標的になりやすいという弱点があります。企業のWebサイトが改ざんされたり、ランサムウェアの攻撃を受けたりする事例が後を絶ちません。
これらを防ぐためには、本体やプラグインを常に最新バージョンにアップデートし、「SiteGuard」や「Wordfence」などのセキュリティプラグインを導入したり、WAFを追加で契約したりするなどの継続的な保守管理工数が必要になります。万が一、セキュリティ侵害が発生した際の責任はすべて自社に帰属するため、その管理負担は甚大です。
そんな時は?
クラウド型のCMSを検討しましょう
クラウド型のCMSなら、サーバの運用はCMSの提供会社であることが多くセキュリティの運用を任せることが可能です。
デメリット4
操作方法の習得に時間とコストがかかる
どれほど直感的に操作できるCMSであっても、新しいシステムを実務に定着させるには学習コストがかかります。
マーケティングチームのメンバーが全員ITに強いわけではない場合、マニュアルの作成や社内講習会の実施に多くの時間とエネルギーを割くことになります。操作に慣れるまでの期間は一時的に更新作業が滞り、逆に業務効率が低下したように感じられることも少なくありません。
導入後のサポートやトレーニングが不足していると、操作が難しすぎて更新がおっくうになり、システムが放置される原因になります。
そんな時は?
専門知識に頼らないCMSを選びましょう
見たまま編集機能など担当者がコードを理解できていなくても編集できるように開発されたCMSを選定しましょう
デメリット5
Webサイトの表示速度が低下する可能性がある
CMSはユーザーがアクセスした瞬間にデータベースから情報を呼び出してページを動的に生成する仕組みを採用していることが多く、これがサーバーの負荷となりWebサイトの読み込み速度を低下させる原因になります。また、不要なプラグインの追加や、最適化されていない画像、蓄積されたデータが原因で表示速度がさらに遅くなる場合もあります。
ページの表示速度はユーザー体験(UX)に直結するだけでなく、検索エンジンの評価(SEO)にも悪影響を及ぼすため、表示速度のチューニングやサーバーの増強といった追加の対策が必要になることがあります。
そんな時は?
導入前に処理速度を計るのは困難ですが、でも。
CMSの検討時に同じ条件での比較テストを行うのは困難です。サイトスピードを優先する場合は、ヘッドレスCMSの検討をしてみるのもよいでしょう。
デメリット6
既存サイトからのコンテンツ移行が大きな負担になる
すでに運用しているWebサイトを新しく導入するCMSに移行する場合、過去のコンテンツをどのように移行するかが大きな課題になります。
単にテキストをコピー&ペーストするだけでなく、古いHTMLの不要な記述を整理したり、画像ファイルをCMSの管理下に最適化してアップロードし直したりする必要があります。移行するページ数が数十ページから数百ページに及ぶ場合、手作業での移行は膨大な工数と時間を要し、リンク切れやデザイン崩れなどのトラブルも多発しがちです。
そんな時は?
移行のしやすい機能を持つCMSを選定しましょう
CMSの機能によってプラグインで処理できるCMSもあれば、HTML&CSSを流し込めるものもありますので、選定時に確認しましょう。
デメリット7
導入したのに結局使われず形骸化する
高機能で多機能なCMSを導入したものの、現場の運用ルールが決まっていなかったり、操作が複雑すぎたりして、結局誰も使わなくなってしまうという「形骸化」の罠があります。多機能であればあるほど、日常の更新には不要な設定項目が増え、担当者が混乱して更新を避けるようになります。
最終的には以前と同じように外注会社に作業を丸投げすることになり、高いライセンス料だけを毎月支払い続けるという最悪のシナリオに陥りかねません。
そんな時は?
運用方法を一緒に考えることができるパートナーと
CMSの提供会社やweb制作会社、ITコンサルティング会社と一緒に運用方法を整備しましょう。特にCMSの提供会社は開発による解決案も豊富です。
デメリット8
特定の制作会社やシステムに依存してしまう
独自のカスタマイズを施したCMSや、あまり普及していない特殊なCMSを導入した場合、そのシステムを構築したベンダーや制作会社に運用のすべてを依存せざるを得なくなります。
システムに不具合が生じた際や、新しい機能を拡張したい場合に、その会社以外のエンジニアでは手を加えられないという事態が発生します。結果として、ベンダーの言い値で開発費を支払わざるを得なくなったり、制作会社の対応が遅いことでマーケティング施策の実施タイミングを逃してしまったりするリスクを抱えることになります。
そんな時は?
開発ドキュメントを残してくれる協力会社を選びましょう
将来、もしも乗り換える時の為に、設計書や仕様書を残してくれる開発会社を選定しましょう
デメリット9:
目的と合わないCMSを選び成果が出ない
「流行っているから」「大手企業が導入しているから」という理由だけでCMSを選定してしまうと、自社のマーケティング成果に全くつながらないツールを選んでしまうことになります。
例えば、自社はBtoBの製品情報を整理してリードを獲得したいだけなのに、ECに特化したシステムや、あまりにも多機能で操作が難しい大規模向けのCMSを導入しても、機能を使いこなせず終わってしまいます。自社が解決したい課題とCMSの強みが一致していなければ、どんなに素晴らしいシステムも宝の持ち腐れとなってしまいます。

デメリットを乗り越える!失敗しないCMS選定の5つのポイント
数多くのデメリットがあるからといって、CMSの導入を諦める必要はありません。デメリットの本質を理解し、事前に適切な選定基準を設けることで、導入の失敗リスクを限りなくゼロに近づけることができます。
失敗しないCMS選定の5つのポイント
- ポイント1:導入目的と達成したいKPIを明確にする
- ポイント2:運用体制と担当者のITリテラシーを考慮する
- ポイント3:セキュリティ要件とサポート体制を確認する
- ポイント4:長期的な視点でTCO(総所有コスト)を試算する
- ポイント5:機能の拡張性と外部システム連携(API)の可否を確かめる
ポイント1
導入目的と達成したいKPIを明確にする
CMSを導入する前に、「なぜこのシステムを導入するのか」という目的と、それを評価するための指標(KPI)を明確に定めましょう。
例えば、「Webサイトからの問い合わせ件数を現状の1.5倍に増やす」「商品情報の更新頻度を週に1回から毎日に高める」「外注費を年間で30パーセント削減する」といった具体的な目標を設定します。流通・小売業のT社では、Sitecoreのシステムを導入して施策を最適化し、3年間でEC売上を倍以上に成長させた事例があります。
目的が明確であれば、必要な機能と不要な機能の区別がつき、過剰な投資を防ぐことができます。
ポイント2
運用体制と担当者のITリテラシーを考慮する
CMSの選定において最も重要なのは、「実際にそのシステムを毎日使う現場の担当者にとって使いやすいか」という視点です。
ITリテラシーがあまり高くないマーケティング担当者がメインで運用する場合、HTMLの知識が一切不要で、見たままの感覚で編集できる「vibit CMS」などの直感的なCMSやノーコードで管理できるツールが適しています。
実際にいくつかのCMSで同じ1ページを試験的に作成(テスト運用)してみて、現場の使いやすさや編集スピードを実感した上で決定することをおすすめします。
ポイント3
セキュリティ要件とサポート体制を確認する
自社のセキュリティ基準を満たしているかどうかは、企業の信頼を守る上で不可欠な要素です。
オープンソース型を選択する場合は、自社内にセキュリティ対策やアップデートを適切に実行できる専門の人材がいるかを確認してください。もし社内に十分なリソースや知識がない場合は、万全なセキュリティ対策と手厚い電話・メールサポートがパッケージになっている「Blue Monkey」などの国産クラウド型CMSや、商用パッケージ型CMSを選択する方が安全です。
何かトラブルが発生した際、公式の迅速なサポートを受けられる体制があることは大きな安心材料になります。
ポイント4
長期的な視点でTCO(総所有コスト)を試算する
初期費用だけでなく、5年間運用した場合の「TCO(総所有コスト)」を算出しておきましょう。
ライセンス費用、サーバー費用、保守サポート費用に加え、セキュリティパッチの適用や定期的なアップデートにかかる外注費、さらには社内の運用工数も含めてコストを試算します。安価なオープンソースでも、年間のアップデート作業を外部に依頼し続ければ、最初からサポートのついたクラウド型CMSを契約するよりも結果的に高くつく場合があります。
隠れた運用コストをあらかじめ可視化しておくことで、社内稟議もスムーズに通しやすくなります。
ポイント5
機能の拡張性と外部システム連携(API)の可否を確かめる
将来的に自社のマーケティング施策が拡大した際、他のシステムと連携できるかどうかも重要な選定基準です。
例えば、獲得したリード情報を管理するMA(マーケティング・オートメーション)ツールやCRM(顧客関係管理)システムと、CMSをAPIを介してスムーズに連携できるかどうかを確認しておきましょう。
初期段階では不要であっても、将来的にユーザーの行動データや購入履歴に合わせたパーソナライズ表示を行いたくなった際、システム連携ができないCMSを選んでいると、再びシステムを移行し直すという膨大な工数が発生してしまいます。

まとめ:デメリットを理解し、戦略的なCMS導入でマーケティング成果を最大化しよう
CMSの導入は、マーケティング活動のスピード感を最大化し、自力でPDCAを回すための強力な武器になります。だからこそ、事前に潜むデメリットを網羅的に理解しておくことが大切です。
自社の運用体制やスキルに合わないシステムを選んでしまうと、運用工数が増大し、本来注力すべきマーケティング活動が疎かになってしまいます。「誰かに頼るのではなく、自分たちで迅速にサイトを動かし、改善を繰り返せる安心感」を手に入れるためにも、本記事で紹介した5つのポイントを基準に、実際にテスト運用を行いながら自社にとって最適なCMSを選定しましょう。
デメリットを先回りして解決したCMS導入こそが、貴社のマーケティング成果を大きく飛躍させる確実なステップとなります。

